最高裁判所第二小法廷 昭和43年(オ)34号 判決 1968年6月21日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人田子璋の上告理由について。
被上告人が賃料の支払を拒絶するに至つた事情に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし首肯することができ、右認定判断の過程において、原判決には何らの違法も存しない。そして、右事実によるときは、右賃料不払の一事をもつてはまだ賃貸借の基礎たる相互の信頼関係を破壊するものとはいい難く、これを理由に賃貸借契約を解除することは許されないとした原審の判断は、正当ということができる。論旨は原判旨を正解せず、右判断と異なる独自の見解ないし原審の認定しない事実を前提として原判決の違法をいうものにほかならず、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外)